今回は、イラスト初心者さんにおすすめの「イラストの入門書」を紹介します。
実際に購入して「よかったもの」「繰り返し使っているもの」をピックアップしてみました。
マイナーなものから有名なものまでいろいろありますが、どれも勉強になった本ばかりです。イラストの入門書選びで困っている方がいましたら、参考にしてみて下さい。
「かわいい○○が描ける本」シリーズ
まずは宝島社から出版されている藍飴さんの「かわいい○○が描ける本」シリーズです。
かわいい女の子が描ける本
イラストレーター「藍飴(あおい)」さんによる女の子イラストの入門書です。解説がとても丁寧で、作例も豊富。非常にわかりやすい入門書です。
作例はすべて藍飴さんが描いているので、絵柄に統一感があるのもいいところ。また、この手の本では、めずらしく「表紙よりも中身の絵の方がいい」1冊でもあります。
キャラクターのポーズや表情も豊富で、模写にも向いています。絵柄は多少好みが分かれるかもしれませんが、作例のチョイスが絶妙で自分の絵柄に落とし込むつもりで描いていくと、非常にいい勉強になります。
かわいいコスチュームが描ける本
「かわいい女の子が描ける本」の続編です。タイトルには「コスチューム」とありますが、ふつうに衣装やファッションに重点を置いた入門書です。
現代からファンタジー世界のものまで様々な衣装の描き方やポイントを、豊富な作例とともに解説しています。作例は前作同様「藍飴」さんがすべて描いていますので、絵柄に統一感があり、安心して使えます。
本の傾向としては「手取り足取り解説する」というよりも、作例を「描いて学ぶ」「みて学ぶ」スタイルになっています。どの作例も学べるポイントが多く含まれており、見返すたびに発見があります。
かわいいファンタジーイラストが描ける本
藍飴さんの「かわいい~が描ける本」シリーズの第3弾です。こちらはファンタジーイラストに特化した入門書です。3冊の中ではイラストのクオリティが最も高いです。
これまでのシリーズと同様、作例の数が圧倒的。すべて藍飴さんが描いているのですが、これでもかというぐらいのバリエーションがあり、みているだけでもたのしい1冊です。「表紙よりも中の絵の方が断然いい」のもポイントです。
ファンタジーイラストは、ソーシャルゲーム風のデザインが多め。派手なものやスタイリッシュなものが中心です。なので、「昔ながらのファンタジー」「骨太のファンタジー」のテイストを求めている方にとっては、肩透かしかも。
ファンタジー衣装の考え方やアイデアの出し方についても書かれていますが、全体の解説量は少なめです。その分、作例のバリエーションが豊富なので、使い方としては「作例を模写する」「作例を自分の絵柄で描いてみる」のがおすすめです。
メルヘンファンタジーな女の子のキャラデザ&作画テクニック
愛らしいイラストに定評のある「佐倉おりこ」さんによる1冊です。この本の特長は、とにかく「描くたのしさやおもしろさ」が伝わってくるところ。
イラストの勉強をはじめると、「人体のバランス」「骨格」「筋肉」などのポイントに振り回されて、描くのが苦しくなってしまうことがあります。
が、佐倉おりこさんのこの本は「いくつかのポイントをおさえたら、どんどん描いてみよう」という感じ。作例がとてもたのしく&のびのびと描かれていて、絵を描くたのしさを存分に味わえます。
読むたびに「技術も大事だけど、イラストってそれだけじゃないだなあ」と感じさせてくれる1冊です。絵柄が気に入った方は、続編の「メルヘンでかわいい女の子の衣装デザインカタログ」もおすすめです。
衣装デザインに特化した本で、デザインの考え方やアレンジ方法がたくさん載っています。衣装のパーツも豊富で、服装をデザインする時に辞書のように使えます。これはいいですぞ!
ポーズが描ければ動きも描ける たてなか流クイックスケッチ
ベテランアニメーター「立中順平」さんによるドローイング技法本です。掲載されているのは、日本ではあまりないタイプのスケッチ・デッサン技法。
人体のパーツや骨格にとらわれすぎることなく、流れや動きから構成していくスタイルは非常に勉強になります。技法的には、海外のこのタイプの書籍にあるものと近い部分がありますが、やはり日本語でわかりやすく書かれているのはうれしいところ。
本の構成もすばらしく、最初はかんたんなことからはじまり、少しずつ新しいことを覚えていきます。語り口もやさしく丁寧で、無理なく学ぶことができます。
何よりも付録でダウンロードできる動画は圧巻の一言。立中先生の「生のタッチ」をみることができます。線の伸びや運びのすごさといったら!このドローイング技法をまとめた1冊として、非常に価値のある本だと思います。
香川 久×馬越嘉彦 バトルヒロイン作画&デザインテクニック
「プリキュアシリーズ」で有名な香川久さんと馬越嘉彦さんによる1冊です。イラストを1から学べるという本ではありませんが、作画やデザインについて勉強になることが数多く書かれています。
キャラクターイラストやラフ画、絵コンテなどが多く載っており、それぞれにデザインや演出の意図が書かれています。これが非常に面白く、この部分を読むだけでも価値がある1冊かと思います。
また、ページ数は多くありませんが、人体・キャラクターの描き方も載っています。簡潔ながら核心をついた言葉で描かれており、すばらしいの一言。プリキュアシリーズに興味がない方にもおすすめの1冊です。
SAIドロー&ペイント マジカルテクニック
「塗りの考え方やテクニック」が非常にくわしく書かれた良書です。ペイントツール「SAI」の技法書ですが、書かれている「塗りの考え方やテクニック」はほかのツールにも生かせます。
2011年の本ということもあり、絵柄や作風は時代を感じさせる部分がありますが、塗りの技法は現在でも使えるものばかりかと思います。本の中のイラストや塗りはすべて作者の「三日月 沙羅」さんが担当していますので、安定感があります。
プロ絵師の技を完全マスター キャラ塗り上達術 決定版
CLIPSTUDIOを使うなら、いろいろな塗り方がわかる本が1冊あると便利です。この手の本は何冊も持っていますが、中でも「プロ絵師の技を完全マスター キャラ塗り上達術 決定版」がいちばんよかったです。
塗り方がとても丁寧に解説されており、「おお、こんなふうに塗るんだ」ということがよくわかります。手順通りにやるだけでも本当に勉強になります。
また、ダウンロード特典も非常にいいもので、作家さんの生データをみることができます。
カラー&ライト ~リアリズムのための色彩と光の描き方~
色の性質や光・影・陰を学ぶのに定番の1冊です。絵はリアルなタッチで描かれていますが、アニメ・マンガ系のイラストにも役に立つことがいっぱい載っています。
「描き方や塗り方を学ぶ」というよりは、色や光についての考え方や知識を学ぶための本です。「こういう天候のときは、こんな色のカゲがつくんだ」「だからこの部分にこの色が入るんだ」など、非常に勉強になります。
作例の絵・文章ともにすばらしく、読むたびに新しい発見があります。とにかく学べることの多い1冊で、持っておいて損はないかと思います。
まとめ
今回は、ゆずゆろぐ。編集部がおすすめする「イラストの入門書」を紹介しました。書店や電子書籍ストアをみると、本当にたくさんの入門書があります。
今回ピックアップしたのは実際に使ってみてよかったものばかりです。入門書選びで困っている方がいましたら、ぜひ参考にしてみて下さい。