先日、スキルのフリーマーケット「ココナラ」を利用してみました。
描いていただいたイラストは大満足でしたが、ココナラというサービスについて思うことが多々ありました。
今回はそれについて書いてみます。
スキルの大安売りがもたらすもの
ココナラは「ロゴを作ります」「文章を書きます」など、いろいろな方が自分のスキルを販売しているフリーマーケットです。
コンセプトはユニークなのですが、サイトをみて最初に感じたのが「スキルの大安売り」っぷり。
本来は、その価格では提供できないようなスキルが、(クオリティはさておき)500円や1,000円などの超低価格であふれかえっています。
なぜ500円や1,000円で提供できるのか
ココナラは、誰でも登録をすればすぐに出品できるようになってます。
出品の敷居が低いこともあり、出品者の大半はアマチュアの方です。趣味の延長という感じの方も多いですね。
このようなシステムだと、必然的に
- 好きなことだから、金額はいくらでもいい
- 夢だから、金額は関係ない
- 経験を積みたいので、タダでもいいからその仕事をしてみたい
- ちょっとしたお小遣い稼ぎ
という方が増えてきます。
そのため、本来は安く提供できるはずのないスキルが、(クオリティはさておき)500円や1,000円といった超低価格であふれかえる――といったことが起こっています。
また、受注件数や評価を増やすために価格を下げたり、プロと名乗っている方もその価格に乗っていたりするので、ココナラ全体で「スキルのとんでもない価格崩壊」が起こっています。
ロゴって500円ぐらいで描けるものなんでしょ?
ココナラをみていると、「スキルの値段」に対する感覚が麻痺してきます。
出品者全体で「スキルの大安売り」をしているような状況なので、みていると「これがそのスキルの相場なのかな?」と思えてきてしまうんですね。
もちろん現実は、そんな相場で成り立つわけがないのですが、みていて心配になるのは「この値段が一般に広がっていったらどうなるのだろうか」ということ。
こういうのって、質よりも「価格」が広がっていきやすいんですよね。
- 「ロゴって500円ぐらいで描けるものなんでしょ?」
- 「司会って3,000円ぐらいが相場なんだよね」
- 「ココナラだったら1,000円からあるのに、これって高すぎない?」
多くの人がこう思うようになったらおしまいで、もともと「手間」「労力」「高い技術」を無視した相場なので、ジャンル自体がいずれ立ち行かなくなっていきます。
対価という概念
本来は「特別な技術には、それに見合った金額が払われる」のが普通なんですね。当然のことながら、「手間」や「労力」にも見合った金額が払われる必要があります。
・・・が、ココナラのように
- 経験を積みたいから、タダでもいいので仕事をしたい
- 好きなことだから、金額はいくらでもいい
- 夢だから、金額は関係ない
という方の集まりをシステムにしてしまうと、「対価」という概念が吹っ飛んでしまうんですね。
たとえば、受ける側は500円(手取りは300円ちょっと)で何時間もかけて、下手をしたら数日かかるような作業をする。
プロやアマ、スキルのレベルは関係なく、これが「普通」になったらすごく怖いですよね。
ですが悲しいかな、「普通」と捉える人が多くなればなるほど、それが「スタンダード」になっていくのが世の中というものでもあります。
おしまいに
ココナラのコンセプトはユニークだと思いますが、現在のように「技術や労力に見合わない価格」が蔓延している状況は「明らかに違う」と思います。
こうしたサイトはココナラだけではありませんが、現状を見るに、ものすごく危うい印象を受けます。
スキルの価格破壊は、ジャンルの衰退につながっていきます。
よいもの、よいサービスを求めるのであれば、それに見合った金額を払う必要がある――何があろうと、その大前提を崩してはならないと思います。