RPGツクールは、プログラムの専門知識がなくてもRPGをつくることができるソフトです。
はじめてツクールを使う人に、次のことがよくすすめられます。
- まずは練習として、かんたんなゲームをつくってみる
シンプルなゲームをつくることで、ソフトの操作方法やゲーム作りの基本を覚えてみようということですね。
……が、実際にやってみると、これがなかなか大変です。
私の場合は、最初に解説サイトに目を通したのですが、とにかくやることが多い! 正直、「ちっともかんたんじゃないよ!」と思ってしまいました。
「かんたん」の意味
これはツクール公式の初心者講座をみても思うのですが、「かんたん」の意味がどうもごっちゃになっている気がします。
本来、「クリアするのがかんたんなゲーム(短いゲーム)」と「つくるのがかんたんなゲーム」は同じではないはずです。
が、解説サイトだと、「短いけれど、それなりの形になっているゲームを作ろうとしている」ところが多いように感じます。
言い方をかえれば、「最初からいろいろと詰め込みすぎ」のように思えます。
「今やらなくてもいいこと」「今やると混乱してしまうこと」まで入っていたりするので、はじめてゲームを作る人にとっては大変に思えちゃうことが多いんですね。
というわけで今回は、私がRPGツクールの使い方を覚えた方法をお届けします。
話しかけたらエンディング
私が最初にやったのは、とにかくシンプルに作るという方法です。
ゲームに入れる要素は「どうしても必要なことだけ」と決めて、すすめていきました。
はじめにつくったのは「主人公が相手に話しかけたらエンディング」というものです。
図にするとこんな感じ(画像はイメージです)。
マップは適当なタイルを全体に敷き詰めただけのもので、キャラも適当です。主人公が話しかければエンディングになりますので、何の難しい仕掛けもありません。
ですが、これだけシンプルなものでも学べることがたくさんあります。
まずは「マップを作る操作」「キャラクターの配置方法」「会話の仕方」「ゲームの終わらせ方」「テストプレイの仕方」といったツクールの基本操作が学べます。
ここまでできたら、今度はタイトル画面からエンディング(クリア)まで通してプレイできるようにしてみます。
そう、ここで「タイトル画面からマップ画面に行く方法」を学べるわけですね。
プレイ時間が1分にも満たないゲームですが、これで通しプレイができるゲームができました。あとはここに自由な発想で肉付けをしていきます。
たとえば次のような肉付けをすると、たのしみながら機能を学ぶことができます。
エンディングをどうする?
「相手に話しかけたらクリア」というシンプルなゲームですが、エンディングはいろいろな方法が考えられます。
たとえば、クリアした後にエンドロールを出してみたらどうでしょう。エンドロールとは、映画のラストなどに流れるスタッフ名などが表示される画面ですね。
すると、「エンドロールの出し方」や「エンドロールのあとにタイトル画面に戻る方法」を学ぶことができます。
あるいは、相手に話しかけた瞬間に、相手が喜んでジャンプするなどといったリアクションを入れてみるのも面白いかもしれません。となれば、「相手の動かし方」を学ぶことができますね。
また、「クリアした瞬間にファンファーレを流す」なんてのも面白いかもしれません。すると、「ファンファーレの流し方」を学ぶことができますね。
「話しかける」をどうする?
「相手に話しかけるとエンディング」というシンプルなゲームですが、「話しかける」ことについてもいろいろと工夫ができそうです。
たとえば、相手がじっとしているのではなく、動き回っていたらどうでしょう。そう、「相手が自動で動くにはどうしたらいいのか」を学べますね。
あるいは、会話のはじまりをどうするか。
主なところでは「決定ボタンを押すと会話」「相手に接触すると会話」といった方法が選べます。どちらが自然か、どちらがスムーズかを試せるのですね。
または会話の回数。
1回ではなく、2回話しかけたらクリアとしたらどうでしょう。すると、必要な操作を覚えられますね。
相手に話しかける理由をつくってみる
「話しかける」に注目するなら、「なぜ話しかけるのか」「なぜ話しかけたらエンディングになるのか」という理由を考えても面白そうです。
そうした理由を考えてみると、自然と「主人公と相手の関係性」がみえてきます。
- 主人公と相手は知り合いなのか、そうでないのか
- 主人公と相手はどんな関係なのか
- 主人公は何を求めているのか
ちょっとしたストーリーもできちゃいそうですね。
……が、この場合も、「かんたんにゲームをつくる」という目的を失わないようにします。
つまり、難しく考えないことです。
こうしたときは、制限をつけると楽になります。たとえば「セリフは二言まで」などと決めちゃうんですね。
あるいは身近な人をキャラにしてしまうのも1つの方法です。練習ですから気楽にやっちゃいましょう。「ごはんできたわよ」「は~い」ぐらいの会話でもまったく問題ありません。
チュートリアルを入れてみる
ゲームのはじめに「どうしたらクリアになるか」といったチュートリアルを入れてみるのも面白そうです。
チュートリアルといっても、凝ったものにする必要はありません。テキストで「相手に話しかければクリアです。さあ、やってみましょう」と出すだけでも立派なチュートリアルです。
テキストを出すだけのチュートリアルでも、いろいろな考えどころがあります。
- ゲームの最初に文字(テキスト)をだすにはどうしたらいいんだろう
- キャラクターに言わせてみるのも面白いかも
- チュートリアルの最初に、チャイムなどの音を入れるのもアリかも?
……などなど、様々なアプローチができそうです。
上で紹介したようなゲームができたら、今度は相手を別のマップに配置してみましょう。マップはアバウトで構いません。
すると、マップからマップへの移動方法を学ぶことができます。
このように、まずシンプルなものをつくってみて、ちょっとずつ肉付けしていくようにすると、必要な知識を必要なときに学ぶことができます。
必要なときに必要なことを覚えていく
読んでいて気づいた方もいるかと思いますが、ここまでの段階で次のことは全くやっていません。
- キャラクターやストーリーの詳細な設定
- パラメーターの設定
- 武器や装備、アイテムの設定
- きちんとしたマップ制作
- 変数の理解
なぜなら、これらは「かんたんにつくるときには、向いていない要素」だからです。
しかも最初からこれらをやろうとすると、テストプレイに入るまでの段階が長くなりすぎます。
私もそうでしたが、最初は「すぐにキャラを動かしたい」んですよね。
はじめてゲームを作るときって、キャラが画面に表示されるだけでも「おおっ!」と思いますし、動かせるだけでも感動するんです。
会話ができれば「うわっ、ちゃんとしゃべってるよ!」と本当にうれしくなります。早い段階でこうした気持ちを味わえることって、すごく重要なことだと思うんですよね。
マップ作りは大変
私がゲームを作り始めたときに、解説サイトをみていて思ったのは「最初からずいぶんと難しいマップをつくるんだなあ」ということでした。
そうしたマップをみて「マップ作りって難しい……」「私にはマップのセンスがない」と感じてしまう方もいるのではないかと思います。
が、これも上で紹介した方法と同じで「必要なときに必要なことを覚えていく」のがいちばんかと思います。
さきほどの練習用のゲームを例にしてみます。
このゲームに「いくつもの家やキレイな道」「見栄えのよい宿屋」「立派なお城」「美しい森」「ワールドマップ」などは、全く必要ありません。
でも、ちゃんとタイトルからエンディングまで通しプレイができます。そう、マップ作りも必要なときに必要なことを覚えていけばいいんですね。
上のゲームを最後までつくってみて、「このままだと相手のところまでかんたんに行けちゃうな」と感じたら、ちょっと難しくしてみるんですね。
たとえば
- まわり道をするようにしたらどうだろう?
- 相手のまわりに壁があったらどうだろう?
など、いろいろと考えてみます。
そして、まわり道や壁をつくる場合もまずはシンプルにつくってみる。それでいい感じになったら、装飾となる部分を足していく。
……といった感じで段階を追っていけば自然と「らしいもの」になっていくと思います。
いずれにせよ、マップ作りは時間がかかるものです。
ですので、はじめて練習用のゲームをつくるという方は、できるだけマップをシンプルにして、「ゲームの流れに必要なこと」から覚えていくのがよいように思います。